GWに入り、緊急事態宣言や近年の動向によって、『家にいる時間』が増えれば、おのずと『インターネット』との付き合いも増えていくのではないだろうか。
小学校で働いていた時からたくさんのお家の方の悩みを耳にしていた。インターネット関係の悩みだ。別に学校での出来事では無いことなので、「それは家庭のことだからお付き合いできませんよ。」と断ってもいいことだ。
ただ、僕は聞いてしまったことは、結果的に『子どもの育ち』にプラスならお手伝いしたいタイプだ。でも、これはあくまでも『学校』のサービスではない。僕の趣味だ。
だから、その相談を受けていることを評価されたり、それをしない教師が『物足りない先生』だと思われることはよくないことだとも思っているので、僕の趣味を世の中に発信して、僕を気に入ってくれた人に生かしてもらう人生を選んだ。
ただ、子どもだって人間だし、僕らと同じ社会を生きている。単に見え方・映り方が僕らとは少し違うだけだから『上手くいかないこと』も当然あるわけだ。
子どもに『自由』にさせることは『放任・無関心・無責任』として扱われることもあるのだが、子どもに『レール』の無い『自由』な人生を歩ませて、それを陰から黙って『応援する』ことのできる親の方がよっぽどスキルの高い『大人』だな。と僕は思っている。
なので、僕は家庭学習応援家の仕事の一つとして『子育ての悩み相談』に関する発信をすることにした。何度も子どもに伝えても上手くいかないことってやっぱりあって、それを違う方向で考えるにも、何をしていいのか…となっているお家の方の『小さな支え』になれば嬉しく思う。
タブレット使い過ぎ問題
別にタブレットパソコンに限った話では無いのだが、携帯電話でも、テレビゲームでも、タブレットパソコンでも同じなのだが、これらを使い過ぎていることに対して悩みを持っているお家の方は凄く多いように感じる。
ただ、その対策を聞いていると「きっとその子にはそのやり方ではずっと同じことを繰り返してしまうんじゃないかな?」と思うことがある。
基本的には、この問題に限らず、子育てに関わる問題で子どものペナルティーを科すことで抑制することは僕は持続可能な方法ではないと思っている。それ以上に仮にそれで止められているように見えているうちはいいが、いざ大人になって本人の責任になった時に、浪費や抑制が効きにくい大人になることの方がよほど心配だ。
世の中がこれだけ便利になり、子どもでも簡単に情報が掴める時代に理由の不明瞭な力業で解決することはオススメしない。
実際に僕が、小学5年生の時、正座させられている僕のこめかみを蹴り飛ばしてきた隣のクラスの担任を恨んでいるし、その人が小学校の校長先生になるような組織を正しいとは思っていない。力業が正義だった時代には、少なからず「そういうものなのかなぁ。」と思っていたから怖いものだ。
話をもとに戻して、僕はいつもこういった子育ての悩みを聞く時には、まずお家の人と情報を整理することにしている。
①そもそも『なぜ困っているか?』の再考
②状況の整理
③家族として『良い状態』の決定(ゴール設定)
ザっとこの辺りに関わる話をお家の人と一緒に話をしながら考え、僕なりの知恵を絞ることにしている。
大切なのは、経過を聞き続けるということだとも思っているので、その後の様子も必ずセットで聞くことにしている。
では、先に示した3つのポイントに合わせて『タブレット使い過ぎ問題』に対しての僕のアドバイスを書いていこうと思う。
①そもそも『なぜ困っているか?』の再考
これに関しては、大抵の場合は、使用時間が長すぎることによって他のことができないだったり、生活リズムが乱れるだったり色々あると思うのだが、深く聞くようにしている。
例えば、うちの子の場合、長時間ゲームをすると「頭が痛い!」と訴えることが多い。うちの息子の場合は、「健康状態が悪くなると、生活に支障が出るから」長時間ゲームやタブレットに時間を費やして欲しくない理由である。ただ、ゲームをすることは悪いことばかりではない。うちの息子はクリスマスにポケモンの新作をもらった。ゲームはこれが初めてだった。
右も左もわからない彼に僕が伝えたことは、「とにかくよく読みなさい。読んでわからなければ君にはまだ早いゲームなのだと思うから。」だった。なので、彼は一言一句漏らさずにゲームの内容を読み込んでいる。そして、わからない言葉は、『〇〇ってどういう意味??』と質問してくるのでそれについては必ず答えることにしている。読むことがわかること、そして楽しいことへと繋げるためだ。
そして、彼がゲームを始めたと同時に僕もゲームを始めてみた。これは親子の共通の話題を作り、話したい話題を積極的に話してより深く知りたいという気持ちにさせる工夫である。
要するに、うちの息子の場合だとゲームを長時間利用し過ぎて困ることは、2つで、
①『生活リズムが乱れること』②『体調が悪くなること』なのである。
よくある話ではあるが、困っていますという話を聞いた時に、あれもこれも良くないことのように思っているお家の方がいるのだが、一度落ち着いてなぜ自分が今の子どもの様子に困っているのかを考え直すことは非常に重要だと僕は思う。
②状況の整理
状況の整理とは、その子に関わる多くの情報をお家の人から引き出す作業である。
そもそもどういう経緯で買ったのか、最初に約束を作っていたのか、約束はどうやって決めたのかなどである。その子の生活リズムやお家の人の生活リズムなんかも可能な限り聞き出すことにしている。
するとほとんどの場合は、『使い方の約束』を初めに明確に決めていなくて使い過ぎた後に制限や制約を付けても、そのルールを破ってしまうというケースである。
そして聞くとたいていは「もうある程度大人だから、自分でどれくらいやっていいかは判断できると思っていたのに、裏切られた…」という話を聞く。
ただ、僕はここに関しては冷たい言い方だけれど『大人が招いた失敗』として一旦受け入れることを勧めている。子どもは別に裏切ろうとする気持ちなんてさらさらない。子どもは単に『楽しい物に貪欲』なだけだと思う。映像や音楽という強い刺激は脳に直接入り込んで楽しくさせていく。そういう遊びなのでなかなか自分の力で止めることはできないものである。ましてや快適な環境でそういう刺激を得られるならそんないい話はない。
ましてや今やインターネットを使って世界中の人とアクセスできるゲームやリアルタイムでメッセージを交換出来るツールがあるのだからいくらでも友だち連絡を取り合うに決まっている。
例えば、友だちが家に泊まりに来ている日に夜更かしをしたことは無いだろうか。インターネットの世界はリアルタイムで違う場所にいる友だちと繋がりを持つことの出来る機械なのだ。それを持たせるという選択をしておいて『ルール』や『常識』の擦り合わせをせずに後から怒ったところで解決しないに決まっているのである。
言うならば、友だちが泊まりに来ているのに何も話もせずに黙って静かに過ごすようなことをさせようとしているのだ。無理に決まっている。そもそも僕ならそんな子どもに育てたくはない。
③家族として『良い状態』の決定(ゴール設定)
改めてであっても必ずその『家族』における約束事として設定してやる必要がある。後出しになった場合は、かなり擦り合わせが難航するだろうが、大人の力業でコントロールしようとすると失敗することが多い。
ただ、そもそも子どもの物であっても『大人』が管理・配慮するというのは大前提にすることが大切だと思う。
なぜなら、『大人』には子どもを正しく養育する責任があるからだ。これを軽視して全てを子どもの判断に任せることは危険がいっぱいである。というより、任せるなら他のことも完全に自立を目指す方が良い。
なので、①どんな目的で持たせているのか・使わせているのか②使用時間③使用場所をはっきりと明文化する必要がある。
ここでは必ず『子どもにも相談』しながら決めること、そして出来たご褒美や出来なかった簡単なペナルティーも明確に決めておくとスタート位置がはっきりする。
面白いもので、使用するゴールを設定することでスタート位置に立てるのである。
大人の役割も明確にする
子どもたちは、ルールが息苦しくなると何とかして規制を緩和することに繋がるような『周りからの情報』を捕まえて交渉してくることがある。
ただ、これには決して乗ってはいけない。よその家にはその家の環境やそれまでの教育方針がある。周りの子が出来るならこの子にだって何て絶対に考えてはいけない。
なぜなら、その子が上手くいっているかなんて誰にもわからないからだ。それよりも、大人がしなくてはいけないことは『ルールを設定してそれをしっかり守ろうとする姿』を見つけ出してそっと褒めることを続けていくことだと僕は思う。
そして、成長と共に少しずつ『自立』に向けての『ルール調整』をしていくことが大切なのだ。
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