インターネットと子育ての上手な付き合い方

子育て

 僕は、記憶を辿ると、だいたい高校生の時くらいから自分でインターネットの世界にアクセスするようになった。
 それこそ、家のパソコンや自分の携帯電話などからアクセスするようになったが、始めたばかりの頃は、速度も遅いし、料金だって使えば使うほど取られるし、そこまで積極的に使うことは無かった。ただ、それでもそこまで画質の良くない画像を取るために『時間』『お金』を掛けていたことはやはりまだまだ子どもだったんだろうなと感じる。
 ただ、その後インターネットは目まぐるしい速度で進化を遂げ、今や始めとは比べ物にならないレベルに到達している。あれだけテレビドラマやテレビ番組に合わせて生活していた僕が、今ほとんどテレビを見なくなったのも確実にインターネットが自分の生活に広がってきたからだと思う。
 使い始めから20年以上経った今、僕も『子育て』をするようになった。自分の子どもの時と環境の変化はとてつもなく大きい。
 僕たちは『子育て』をする上でインターネット無しに考えていては上手くいかないことが多いのではないかと僕は感じるようになった。
 今日は、僕の考える上手なインターネットとの付き合い方と子育てについて考えていこうと思う。

1.『道具』として受け入れよう

 どうも、便利な物が世の中に出てくると「そんなものは邪道だぁ!」と言う意見が聞こえてきたり、「努力するために必要な忍耐が養われない!」みたいに言う人がいたりする。
 『インターネット』もまさにこういう扱いを受ける時がある。
 例えば、『教育』との相性なんてすごく合っているのに『教育』を『我慢』や『忍耐』とすり替えて考える人には、すごく邪魔もの扱いされている。
 これに関しては、円周率が約3.14から約3に変更された時に「こんなことでは日本の学力が下がってしまう!」と騒ぎ立てていた人と同じで、そもそも数学の世界ではπで処理するんだから、あとは小数の計算の単元が残る限り学力は変わらないよね。と言い切れる視点は大切だと思う。
 まずは、安全に扱えるような入口に立たせた上でとことん使わせる方が『学ぶ姿勢』が前のめりになるのではないかと思う。
 とことん『便利な道具』として使わせておけば、自然と子どもの中に当たり前の『環境』に変わり、ただの『遊び道具』では無くなる。
 実際にうちの施設に来ている中学生は休校中に行われた「教科書の本文を写して和訳する」(僕はこの宿題は全くいい宿題だとは思っていないが)という宿題の和訳をインターネットで探らせることを勧めたところ、それによって短縮した時間で自分の苦手分野を思考する時間を捻出することに費やしていた。それこそ、小中学校で取り組む問題なんてGoogleに問題文を入れればほとんど丁寧な解説が付いて載っているのだ。

2.もう『隠す』『遠ざける』は通用しない

 学校で働いていた時によく話題になっていたことなのだが、「見せたくないもの」は制御できるかという話だが、これはハッキリ言って無理だと思う。
 大人が見せたくないちょっとスケベな内容やグロテスクな内容をインターネットを自由に使える環境では『見せない』ことは出来ないと考えていた方がいいと僕は思っている。
 つまり、インターネットはいくら制限を掛けたって『親の目の届かないところ』での利用があるなら『見てしまう可能性』は受け入れて使わせるべきだと思っている。これに関してはどんなに子どもに望ましいやり取りをしている親であっても子どもの『興味』や『好奇心』がこの世に存在する限り『見る』と思っておいた方がいいと思う。
 それよりも僕ら大人が考えておかないといけないのは、『見せたくないもの』を隠したり、遠ざけたりする方法では無く、子どもが自分から深入りしてはいけないことだなときちんと出会わせることや、出会ってしまった時に適切に心にブレーキがかかる『自分』を育ててやることが大切だと思う。
 現に僕らは包丁のありかがわかっている子どもに下手な嘘を付いて使えないようにしたりはしない。危険性を理解させた上で1つの『環境』として受け入れることが大切だと思う。
 ただ、これに関しては、性教育や道徳教育など少し以前とは違うこの社会に合ったアプローチは必要なのではないかとも思っている。

3.まずは子どもと『契約』を

 「うちの子はケータイやタブレットでゲームや動画ばっかり見て過ごしていて…」とインターネットを利用する入口に失敗してしまっているお家の方の相談を教師時代たくさん受けてきた。話を聞いていて、上手くいっていないお家の共通点を僕なりに分析したところ

①親よりも子どもの方がネットに詳しい
伝えれば子どもは出来ると信じている
③使う場所や場面、時間の約束が曖昧
親のさじ加減でペナルティーを設けている

 という共通点が見えてきた。
 では、どうすれば、大人も子どもも気持ちよくインターネットと子育てに向き合えるのだろうか。
 もうこれだけインターネットが普及している以上、『子育て』をする親もインターネットで何が出来て、どんな危険があるのかは、知っておく必要があると思う。もちろん、それどころじゃないくらい忙しいのは百も承知だが、この時間を惜しむのに家庭にインターネットを持つことはオススメしない。
 インターネットのことを知ればきっと親も気が付くだろう。「こりゃ、ついついハマっちゃうよね…」と。検索すれば無数の材料を提供してくれるインターネットの世界では、無尽蔵にどんどん『知りたいこと』や『見たいもの』が押し出されてくるわけだ。子どもは『新しいこと』に興味が強い。何度も何度も同じことの繰り返しを強いられるような『勉強』と比べればどちらを選びたくなるか何て答えは見えている。
 大人がそれをしっかり受け入れた上で、子どもたちとは是非あらかじめ約束を交わす『契約すること』をオススメしたい。
 これは、あくまでも『親』『大人』の思い通りにしたいことを伝えるような方法では無く、『望ましい道具』としてのインターネットの利用の方法を子どもと一緒に考えることが大切なのである。
 少なくとも①使っていい時間②使っていい場所③使う目的(あれはするな・これはするなを並べるのではなく、こんなことに役立てて欲しいという願い)④約束を破った時のペナルティー(場合によっては上手くいった時のご褒美でも可)これらを家族での持続可能な形できちんと『約束』して作ることが大切だと思う。
 もし、万が一すでに上手くいっていないならば、きちんと大人の方から「こんなに面白いものだと思っていなかったから、ハマっちゃうのは当然だね。でも、今の生活のままでは良くないから『約束』を決めようね。」と歩み寄ってみて欲しい。

 そして、最後にこれが一番大切なことだが、子どもに『望ましいインターネットの使い方』を求める際には、必ず親も使い方にルールを決めておく方がいい。
 子どもがきちんとルールを守ってインターネットの世界から現実世界に目を向けた時、親が自分ではなくスマホやタブレットばかり見つめていては、またインターネットの世界に逃げ込みたくなってしまうかもしれないからだ。

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