出せる『本気』がちゃんとあるのか

子ども

 「今のは別に本気ちゃうからな。」

 小さな頃、よく自分も言っていたし、周りからもよく聞こえてきた。
 誰が得することも無い意地の張り合いに身を置いて、大人になった僕は今、恥ずかしげも無く「いつでも全力投球で生きています。」と言える大人になった。

 小学校の教師を辞めてもなお、僕は『教育界』に身を置いている。
 毎日小中学生とふれあい、たくさんの保護者の方と話し、自分の考えを発信する。しかも最近では、全国にいる塾やフリースクール、家庭教師の方との交流も生まれた。学校とは違うフィールドで『教育』に向き合いながら生きている。

 最近、ふと思うことがある。『学力』についてのことである。
 本やインターネットで様々な意見を眺め、目の前の子どもを眺め、今僕が考える『学力』について書いておきたいと思う。

『学力』って何だろう?

 大前提として僕は、『学力』をテストに答える力だけではないと考えている。テストに答える力は、その一部分に過ぎないと考えている。
 『学力』の定義は、そこそこ曖昧なのではあるが、僕はやはり『学力』は高い方がいいと考えている。
 もちろん、時代はどんどん前に進んで行ってるので『学力』が高いこと=成功しているではないことは明らかである。基礎的な『学力』がやや欠けていたとしても世の中をガンガン突き進んでいる人はたくさんいる。実際に、僕の周りで今の生活をワクワクさせてくれている人の中には『学力』や『学歴』が高い人ばかりではない。
 ただ、それでも『学力』を付けた方がいいよと子どもたちには投げ掛けたくなる。

 テストの点数が低いことは決してそれだけで悪いことではない。特に多くの学校の定期テストの結果なんて点数が取れたから立派だと言えるものでもない。
 ではなぜ、そんな大して役に立つものでもない『テスト』の点数を上げるためのアドバイスをし、『学力』を付けた方がいいよと言うのか。

 これは、シンプルに『本気』を出す自分作りの練習だと僕は思っている。

 インターネットが出来てしまったことにより、学校教育や教科学習を『知らないことを知ってワクワクするだろ?その気持ちでどんどん学ぶんだよ。』的なコンテンツにはしようがないと思っている。
 だって知りたければインターネットを開けば簡単に上質な情報にリーチできる時代なのだ。子どもの知りたいは即時性の高い『物知り先生』にすでにフィールドは奪われている。
 以前、子どもたちに「君たちが大人になる頃には、今ある60%の職業は無くなっているらしいよ。気を付けないと君たちも仕事が無くなってしまうよ。」という説教をしている先生に出会ったことがある。
 ただ、その先生の授業は、旧来の一方通行型の退屈な授業だった。シンプルに今の自分の状況すら読めていないなと感じた。もはや『教育者』はただの『知識教え屋さん』をやっていても『学び続ける子ども』たちを育てるお手伝いが出来ないことに気が付いていないことが怖かった。

 話が行ったり来たりするが、学校の定期テストなんかは『時間を掛ければおよそほとんどの子どもが出来ること』を扱っている。
 差が生まれる原因は、何らかの理由で子どもが学習をつまらないと感じてしまっているという部分だろう。
 ほとんどの勉強は『体力』『根性』『インターネット』さえあれば内容的には解決してしまう。あとは、それを奮い立たせる自分の『行動』『結果』に結び付くのだ。

点数が取れないあなたへ

 さて、もしもこの記事を読む小中高生が居て、今勉強に困っているならば解決することは簡単だ。
 「やればいい。」
 やり続ければどこかで必ず『結果』は出る。ただ、それを授業がつまらないだとか、将来役に立たないだとか、興味が無いだとか言って『やらない理由作り』に時間を使っている間はきっと「過ごすだけ無駄」な時間になってしまうのではないかなと思う。
 多くの子たちは『受験』のために『勉強』する。
 この日本には『受験のためにしか勉強をしてこなかった人』がたくさんいる。そういう大人のほとんどは『昔はできた』だとか『昔はわかった』と言うかもしれないが僕は『学び続けられる人』にならないと意味がないと思っている。そういう意味では、『受験』に間に合わせるためだけの『勉強』はそれだけでは何の価値もないということが言える。
 ただ、最も勘違いして欲しく無いことは、「受験や学校の勉強から逃げることをきっかけに『本気』になれない自分を許してしまっている自分の弱さが一番の問題なのだという事」だ。
 テストに答える力なんていうものはそれだけでは何の意味もない。
 でも、よほどシンプルに『体力』と『根性』が測ることの出来る良い『機会』ではある。受験や学校の勉強はやっていないけれど『本気』のみなぎるぶっちぎった人と僕はたくさん出会ってきた。ただ、受験や学校から逃げることで『本気』の出せない自分作りをしてしまっているあなたがいるのなら、まずは『他の多くのことよりも』簡単な勉強を少しずつやってみてはいかがだろうか。

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