いつもの思考の中心には
僕の思考の中心はReggaeから始まっていた。別に、Reggaeだけが全てだと思っているワケではないし、刷り込むつもりもない。ただ、僕の引き出しにはReggae以外の音楽を深く伝えるだけのものが無いというだけである。
僕のiPodにある4000曲以上の曲をひたすら聞きまくった。ゆったりと行進が出来るリズムがはっきりと刻まれているもの。歌詞を聴いても多くの子どもや保護者が組立体操を生み出すまでの頑張りがふと思い出されるようなもの。もっと言えば、組立体操をやりきった子どもたちがふと自分たちのこれまで歩んできた6年間のことに想いを馳せるようなもの。考えれば考えるだけ難しかった。
もちろん、Singer RAYやThunderの曲からも必死で探した。アルバムやシングルカットされている曲だけでなく、コンピレーションアルバムにあるような曲も順に聴きまくった。
ただ、大好きな曲はたくさんあれど、今回のイメージとは少し違う。
曲を探しながら、自分自身もこの学年を担任してきてどんなことがあったかを考えるきっかけにもなった。
3年生で初めて担任を持った時には、地域に出来るトンネルにいち早く入らせてもらいたい!!と管理職に懇願し、まだ完成していないトンネルの中をヘルメットをかぶって入っていったこともあった。社会の昔のくらしを学ぶ延長で、現代の水問題や未来のことも考えてタイムスリップだ!と株式会社KAKUDAIさんに商品提案する授業を提案したところ、実際に売りはしないがものにしてみようと子どもの発想が現実になるような授業をしたこともあった。KAKUDAIさんの心遣いで1人にひとつ水道蛇口が配られて、「自由にさわってみていいよ!」という貴重な経験もさせてもらい、子どもたちは分解した蛇口をお土産に持って帰っていた。
4年生では、運動会のダンスを僕が担当し、何も考えずに「曲だけ選んだからあとはみんなで考えて!」と投げかけた。本当に全く何も考えずに、子どもたちの考えだけで作ったダンスを踊ったこともある。当日はあえて指揮台に教師は立たず、「大人に指揮されて踊らされるダンスではなく、楽しく思いっきり踊っておいで!」と送り出した。そして、Thunderにつながる『2分の1成人を考える授業』にもつながっていった。ちなみにその時の楽曲はこちら。
もちろん、毎日楽しいことばかりではない。ケンカの仲裁は毎日だし、放課後であっても、何かがあればすぐにそちらに向かうような毎日で決して楽に過ごしたワケではない。
僕が伝えたいもの
色いろ考えているうちに頭の中が少しずつ整理でき始めた。
堅苦しいことを考えずに、単純に僕が子どもたちに伝えたいテーマを選んだ方がしっくりくるのではないかと感じ始めた。
『感謝』
僕はきっとこれしかないなと思った。僕はこの学年の子どものおかげで本当に教師として成長出来たと思っている。そもそも、自分が必死で寝る間も惜しんで、場合によっては日をまたぐ手前まで学校に残って働いていたのはなぜか。子どもたちとの日々の生活の中で教師として本当に大切にしなければならない視点、『教育』の面白さを教えてもらった気がしていた。それにこんなにやりたいことをどんどん取り入れてもいつも応援してくれる保護者の方が大勢いた。校区に住んでいるとどんどん声を掛けてもらえる。
僕は、純粋に『子ども』『保護者』『僕を支えてくれた人』への素直な気持ちが表現されており、尚且つそんなメッセージを子どもたちにもこれから大切にして欲しいと思える曲を選ぶことにした。
そこまで頭が整理されてくれば選ぶ曲はこの世に1つしかない。
寿君の歌う『Special Thanx』だ。
この歌の歌詞には
やっとここまで来たんだね 本当に色々あったけど
俺だけの力なんかで この日を迎えたんじゃないから
一人じゃアカンタレ そんな俺は 人からの頑張れって
励ましに助けられていた そのお陰でさんざめいたこの…
と完全に僕の気持ちを代弁してくれているのであった。
子どもたちは運動会の最後の演技として全てを締めくくりきっと大きな拍手を浴び、この曲と共に6年間の最後の運動会を堂々と終えるに違いない。僕にはしっかりと子どもたちと作り上げる最高のストーリーが見えた気がした。ただ、やらなきゃいけないからやらされる組立体操には絶対にしたくない。少しでも、意味のある思い出の1ページになるように伝えていこうと心に決めた。
そして、ほぼ同時並行でもう1つのストーリーを思い描いた。
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