Reggae×教育【Thunder編】vol.1

Reggae×教育

『二分の一成人式』辞めようか…

 みなさんは、『二分の一成人式』という行事をご存じであろうか。10歳という節目(完全に数字の言葉遊びだと思うが)に『成長』を感じる行事をしようというのが、多くの学校の趣旨なのだが、決して決まりがあるわけでは無い。

 ここは賛否分かれる部分ではあるのだが、少し僕は疑問を感じていた。

 もちろん、親の視点で言えば学校行事で我が子の『成長』を感じたり、親への日頃の『感謝』が語られたりすれば嬉しい気持ちになるだろう。

 ただ、こういうものは『見せること』を目的にして作るものでも無いし、様々な家庭背景、成長過程があるなかで、一律どの子にも『感謝しろよ!』『親はありがたいだろ!』『君たちは愛されているんだ!』と作られた感動のパワープレーで持って行くやり方には難しさを感じる。
 ましてや、10歳という発達段階で、これらの気持ちを『内発的』にしみじみ感じさせるような持って行き方は僕には出来ない。
(あくまでも、個人の意見であって、全ての『二分の一成人式』を否定する気は全くありません。)

 僕にとって2回目の4年生の担任。教師5年目の時だった。

 4年生の学年の見通しを教師同士で相談する時には、やはりこの『二分の一成人式』が話題に上る。

 僕は自分の考えを学年の他の先生たちに打ち明けた。ただ他の先生からは意外とも言える反応が返ってきた。他の先生たちもこの行事を毎年の刷り直しのように行うことには反対だったようだ。

 もう何年もこの学校では『二分の一成人式』が設定されており、僕も右も左も分からない1年目ではこの『二分の一成人式』を行っていた。

 内容は、自分の生い立ちをふり返るアルバムを作ったり、親からの手紙を受け取ったり、自分の夢を語ったりとよくある形式の行事であった。

 誰も反対することなくくり返されていた行事だけに、未熟な僕には見えない『教育的意義』が込められていると感じていた。
 だが、多くの保護者が期待しているのに無くしたり、変更したりすることは労力に見合っていないから変えていない部分が大きかったのかもしれない。

 『二分の一成人式』に限らず学校行事の多くにこの状況があるようだが、ここでは書き切れないのでまたの機会にしておこう。

未来に繋げる行事を作ろう

 相談の結果、単に『辞めます。なくします。』では、楽しみにしている子どもや親の気持ちにも沿ってあげられないことも少しは配慮することとなり、今までと少し『違うカタチ』で10歳という節目を迎えられるような行事に作り替えてみよう。ということで話がまとまった。

 今までの行事はどちらかと言えば10年間というそれぞれの『過去』に向き合う行事であった。
 僕たちは、逆に10歳という『現在』持ち合わせる価値観をフルに活用して、色々な『ホンモノ』に出会わせることで、自分の『未来』の何かに繋げるような授業作りをしようということになった。

 この授業作りでは、日頃出会うことの少ない職業の人をゲストに招いて、子どもたちが聞いてみたいことを聞いたり、実際に一緒に何かをすることで、子どもたち自身が『どんなことを大切にする大人』になっていきたいかを想像したり、今まで考えることの無かった新しい価値観に触れたりすることを行った。

 子どもたちが今まであまり出会うことが少ない、でも僕ら大人がこれからの子どもたちの『未来』で大切にして欲しいことを伝えてくれそうな人。僕らのゲストティーチャー探しがまた始まった。

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