西宮北部にMy Placeを作った理由

不登校

 僕は生まれも育ちも兵庫県西宮市です。西宮市という街は阪神甲子園球場があったり、大きな商業施設も数か所あったりとそれなりに賑わった印象を受ける方も多いのではないでしょうか。

 ただ、僕が今拠点としている西宮市の北部地域は、いわゆる西宮市のイメージとは少し環境が違います。西宮市の中心からは距離があり、二駅向こうは宝塚市ですし、買い物はほとんど三田市か神戸市北区に足を伸ばします。子どもの数もそう多くは無い上に、今も色々な学校で児童が減っております。自分で事業を起こすなら明らかにお客さんの多い西宮市の南部の方が圧倒的に有利だとも思っています。でも、やっぱり最終的に僕が人生の大きな一歩を西宮名塩で踏み出した理由を今日は紹介したいと思います。

①町が古くて田舎っぽい

 僕はこれからの教育の方向性として大切にしていることがあります。これは言い方は正しくないとも思っているのですが、『昔っぽさ』だと思っています。

 先日僕はコロナに感染しました。家族ももちろん陽性となり、自宅からは一歩も出られませんでした。そんな時に助けてくれたのは近所に住む利用者やスタッフたちでした。

 毎日のように「ご加減は?」「買い出し行きますよ!」「必要なものは?」という連絡をもらい本当に助かりました。そして何より気持ちの上でもとても安心しました。施設もかなり長く閉鎖したのですが、どのお家の方も「先生大丈夫でした!?」と心配の声をくれました。

 僕はこれからの教育を支えるのはこうした『繋がり』だと思っています。子育てや教育の難易度は社会が便利になればなるほど上がっていきます。なぜなら情報が増えることで気にしないといけない要素が増えていくからです。

 僕は隣のトトロのさつきちゃんの学校が大好きです。あの映画の中で妹のめいちゃんがお姉ちゃんと離れたくないとやってきてしまうシーンがあります。そんな時に先生がスッと教室に妹のめいちゃんを受け入れて教室で過ごさせるのです。「どんな多様性やねん!?」と思いつつ僕もこんな温度の教育者になりたいなと思ったほどです。

 西宮の北部は町が古くこうした繋がりを作ることが比較的簡単な地域だなと感じていますが、自分では繋がりを作り辛い方もたくさんいます。だからこそまずは自分の作ったコミュニティだけでも助け合いの輪が広がるようにと西宮名塩という場所にMy Placeを作ることを決めたのです。

②高校へのアクセスが悪い

 家庭学習応援施設My Placeのある西宮名塩という場所には徒歩圏内に高校は1つもありません。公立の高校に通ったとしても年間数十万の交通費が発生するのが現状です。

 通学時間も1時間弱かかるなんて当たり前で場合によってはそれを遥かに越えるような学校もたくさんあります。

 お勉強が苦手なお子さんで、だんだんと欠席や遅刻が増え、ズルズルと行ったような行かないような通い方の高校生がたくさんいることを知っています。そんな西宮の北部地域に通信制高校を作ってみてどう変わるのか?僕はそれを見たいなという気持ちが強くありました。

③「何も無い……」

 僕は今まで学校に勤めている時から「西宮の北部は何もないから」「アクセスが悪いから」「支援してくれる場所も無いから」という声をたくさん聞いてきました。不登校の問題も、子どもの居場所の問題も、近隣に高校が少ない問題も全て学校で働いていた時から何度となく聞いてきた言葉でした。

 教員時代何人もの西宮北部の地域で働く先生が西宮市の南部である研修に遅れてやってきている姿を眺めていました。ただ、来る時間を逆算して研修に間に合うように行くのはどの人も同じように求められることだと思っています。遠いなら早く出るが基本であり、それが出来ないような状況があるならまずはそれを解決しないと色々な機能不全が起こってくるはずです。

 2020年1月からもう2年と8か月が経ちました。家庭学習応援施設My Placeでは①小中学生の学習支援と居場所支援②フリースクール③通信制高校のサポート校④放課後等デイサービスを運営しています。学校で培ったノウハウをかなり詰め込んで生み出した場所がMy Placeです。それなりに自信もありますし、実際たくさんの子どもたちが僕たちの目の前で幸せそうに笑ってくれています。「無い!無い!」と嘆く人の中には一度My Placeを知ってもらいたいなとは思っています。

 実際、西宮北部地域は不便な部分も多々あるかなとは思います。ただ、学校×家庭学習応援施設My Placeの掛け算をこの人口規模の場所に作り出したことで社会が変わっていく瞬間に出会える確率を上げたいなと思っています。

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