Schole~暇を愛する全ての人へ~

教育

 僕たち、特定非営利活動法人ONE LOVEは、2020年10月10日より無料の学習支援事業Zero塾を毎月第2・第4土曜日に開催していました。

 時々、やって来る子はいましたがそう多くは利用者が広がっていかなかったのが現実です。

 いやいや、あんたたちの事業の魅力が無いからだよ。と言われればそれまでなのですが、僕は地域の小学校に7年間働いていたのでよくわかります。この地域に学習に困りを持つ子は確実にいます。ただ、無料だからと解決したいとやってくることは無かった。という事実はきちんと確認出来ました。これは僕たちにとってはとても大切な確認作業でした。今回は、僕たちが無料学習支援事業Zero塾を通して確認できたことと次の一歩をどう踏み出すかについて書いてみようと思います。

Zero塾によって見えてきた課題

 僕たちは地域や必要な人に向けて無料で学習支援を届けてきて1年以上が経ちます。宣伝費をあまり掛けていない点もありますが、利用する子の数はそう多くありませんでした。

 ただ、テスト前には何人かの子がやって来たり、数回は繰り返しやってくる子はいました。ですが、あまり定期的に利用している子はいませんでした。というよりも毎回来てくれていた子が、受験が近づき通常の家庭学習応援施設My Placeの利用者になっていったという実態もあります。

 「勉強が出来ずに困っているなら勉強くらいタダで教えますよ!」というコンセプトで始めたZero塾ですが、結果として勉強が苦手な子は実際は困っているから自分から動くというケースは少なく、そもそもある程度の強制力が無いとやらない子が多いのではないか?という仮説に行き着くことになりました。

 それなりの期間小中学生と過ごしていて「勉強が苦手だと行く高校が無くなる!」だとか「公立に行ってくれないとうちは困る!」というのはあまり小中学生を突き動かすようなパワーは無いように感じています。

 それよりも僕たちが家庭学習応援施設My PlaceやZero塾で感じている今の多くの子に必要な力は自分で決定して実行する力だと強く感じるようになってきました。僕たちの目の前にやってくる勉強が苦手だという子のほとんどは楽しみを作り出すのが苦手です。自分のやり方や自分の好きなことと言っても何も行動に移さない子がほとんどでした。

 僕たちは、Zero塾を通して見つけた答えの1つが子どもたちに自由の扱い方を教えることなのでは無いかと思うようになったのです。

4月からは…

 そこで僕たちは4月からこれまでやっていたコンセプトとは一新することを決めました。それが無料教育支援事業Scholeです。

 Scholeとは、スコレーと読み、School(学校)の語源にもなった言葉です。ではその元来の意味は何なのでしょうか?それが「暇」なのです。

 僕が教育の仕事を始めてもうすぐ10年が経ちます。その間、たくさんの子どもたちやお家の方とお話をする機会があり、多くの悩みにもふれてきました。特別支援教育、不登校、家庭の教育、学校の教育など色々な悩みがありますが、ほとんどのケースでゆっくり考えたり、試したりする余裕も無いくらいバタバタと過ごさないといけない事情を見聞きしてきました。それこそ僕だって教師の仕事をしている時は今ほど余裕は無く、伝わらない想いに歯を食いしばっていたこともありました。でも、冷静に考えれば、世の中の人はみんな違うんだから伝わらないのが普通なんですよね。

 そんな余裕の無い僕に、やっぱり余裕って大切だよね。と教えてくれたのは、家庭学習応援施設My Placeで出会う多くの人たちでした。もちろん、これは子どもだけではありません。その家族やスタッフを含めた人たちです。

 算数が嫌いだと言いながらも面積の計算を利用したパズルを延々解き続ける子。

 受験勉強が終わってからもこれからの自分に繋がるための勉強法に向き合いながら努力している子。

 不登校になったお子さんを支える過程で親としての関わり方を悩みながら試行錯誤して関わることで子どもたちがどんどん前向きになる家庭。

 子どもたちとの関わりの中で数々のアクションを生み出し、自分の生活にもどんどん活かしているスタッフ。

 僕がこれまで2年以上働いてきたこの場所、家庭学習応援施設My Placeでは、こうした前向きな姿がたくさん見えてきました。でも、決してみんな悩んでいないわけではありません。色々なことに悩み、今も色々な悩みを持ちながらも前を向いて進もうとするエネルギーを僕はいつも感じています。

 では、その源泉はどこから来るのか?僕はゆっくりと自分を見つめ直す場と時間(暇)なのではないかと思っています。

 それが今回の無料教育支援事業Scholeのテーマです。

結局何をするの??

 すごく大雑把な言い方をすると子どもたちが成長するための場と時間を無料で提供します

 ただ、僕たちが何か授業や手取り足取り関わって刺激を与えるというわけではありません。Scholeという場を無料で開放しようと思っています。多種多彩な本もありますし、中学生くらいまでならお勉強もサポートします。

 一番の目的は、「自由を正しく扱える子どもたちを育てること」です。

 ただ、託児するためだけの場にするつもりはありません。不定期でイベントを開催したり、保護者の相談にも随時対応していこうと思います。

 もしかすると僕の学校で働く時代を知っている人にとっては「あれ?結局これって学校の時の池田と同じじゃない?」と思われるかもしれませんが、そうなんです。

 すごく乱暴な言い方をするとScholeに来る子やその家庭には家庭学習応援施設My Placeがあなたの教育の副(副々かもしれませんが。笑)担任になりますよという取り組みです。

 なので今回は先着25名くらいをマックスにし、登録制度にしようと思います。詳細は現在チラシを作製中なので完成次第アップします。

 僕たちが作りたいのは教育や子育てを軸にしたゆったりとしたコミュニティ作りです。新たな挑戦により何が見えるのかはわかりませんが、また4月からも楽しんでやっていこうと思います。

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