『働く』意味の難しさ

雑記

 僕は、2019年11月15日公立小学校の教諭という仕事を退職した。初めての異動後、9月になり、色々な想いが自分の中でぶつかり合い『適応障害』という診断が付き、働けない状態になった。
 というより医者が、今の働き方はしなくていいよと言ってくれた。

 僕は、自分のことを結構『働き者』だと思っていた。
 月曜日~金曜日朝は8時前には職場に着き帰りは自分の仕事と打ち合わせを経て子どもの迎えにダッシュで向かい、家に帰ってからも授業の準備や学級通信なんかを書いていた。
 ただ、これでも少なくなった方だ。大学卒業後にサービス業をしていた時なんかは、オープンから終電まで働き駅までひたすら走って過ごしていた。寝るのはたいてい2時前だった。
 別に何か特別優れた力を持っているようなタイプでも無い僕は、やる以上はとことんやらないと!!とストイックに『とにかく働くこと』で周りと差を付けないとと思っていた時もあった。

 でも、今回2度目の転職を機に『働く』意味の難しさに直面し、今は少し自分の見える景色が変わってきたような気がしている。

 僕は、仕事を辞め『家庭学習応援施設MyPlace』の運営をするようになった。
 今の生活は、朝起きて、家族で朝食を食べ、息子たちを小学校へ送り出し、洗濯物を干し、洗濯物をたたむ、火曜と金曜は朝からゴミ出しをして毎日施設を掃除する。午前中にフリースクールプランで子どもたちと一緒に勉強したり、お喋りしたりするうちに時間が過ぎる。そうこうしていると息子たちが施設に帰って来たかと思うと利用者の子どもを受け入れ、勉強を教えたり、一緒にカードゲームをしたりして過ごす。20時に自宅に戻って、子どもを寝かしつける。その後、子どもが寝てから片付けをしたり、次の日のパンを焼いたりしながら、夫婦で色々な話をする。お互いの仕事の話や子どもの話やどうでもいい話をして夜はさっさと寝る。これがたいていの生活スタイルだ。
 僕は、前の仕事をしている時よりも比較的家事や育児に時間を割くことができるようになった。

 僕たちは、ついつい『働く』というと家の外でやる『仕事』をイメージしてしまいがちだ。
 そこに自分なりのやりがいや価値を重ねて、収入のことや時間のこと色いろな条件を重ねて『働く』環境を選んでいるのだと思う。
 ただ、こうやって改めて眺めていると僕らの生活には『お金を生まない労働』がめちゃくちゃたくさんあるのであった。
 そして、本当にしんどいのは、『お金を生まない労働』だったりする。
 毎日掃除をするからこそ、『掃除』をすることの大変さを知り、ここに時間を割くべきか、お金を使ってでも誰かに頼むかの『選択』ができるわけだ。『子ども』と一日過ごすことの大変さを知っているからこそ、ベビーシッターにお金を払ってでも助けてもらうことへの『価値』がわかるのである。

 僕は、今たくさんの時間を『家族』や『仲間』と過ごすことが出来ている。
 そして、今の生活に必要なお金は僕を助けようと『僕を信じてくれた人』からいただいて生きている。確かに、もらえるお金は教師をしている時よりもよっぽど少ない。
 でも、今の僕は何をしていても全て『働いてる』んだなと実感できるようになった。
 例えば、ゲームもやる。子どもとの共通話題を増やすためだ。すると子どもの姿が変わっていくのを側で見ることが出来る。そして、その情報を今度は多くの人たちに発信することが出来る。多くの子どもとああでもないこうでもないと喋っていた内容で、『あっここを助けてやると上手くいくんだ。』と発見がある。僕の時間は全て『働くこと』に変わり、僕から休みが消えていった。
 でも、今僕の心は本当に晴れやかである。

 僕は、学校を辞めてからも『教育者』であることに変わりはない。
 『教育』は日本の未来を支える大切なエッセンスだと信じている。だが、学校の中からは、世の中の人の『働き方』が見えにくい。
 『自由に働く』と言うと、何となく楽している。ずるい。みたいな社会の風潮を感じていたのかもしれない。でも、本当は違う。
 『働くこと』は自由であるべきだし、僕らはそれを求めなくてはならない。
 見えないリスクに備えろよ!というプレッシャーに潰されて、『働くこと』は『我慢すること』だと感じていた僕はもういない。何をやったってリスクは無限にあるわけだ。
 『学校にいくこと』・『勉強すること』が子どもたちの中で『我慢すること』もっと言えばそれを出来る自分を作ることみたいな風潮を僕は感じている。
 ただ、これは絶対に『間違いだ!』と今の自分は声を大にして言ってやれる。
 僕が今の生活を『成功』させることは、もしかすると多くの子どもたちに『自由でいてもいいんだ。』と勇気を与えることになるのではないかと思っている。
 決して、人に誇れるような『生き方』ではないかもしれないけれど、僕の人生は、まだまだ『明るくなる』そんな気がしている。

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