『褒める』って何だ!?

子育て

 つい先ほどのことだが、我が夫婦の会話の中で「子育てにおいて『褒めましょう』とか『褒めなければならない』ということがめちゃくちゃしんどかった。逆に意識しないでありのまま伝えている方が親も子どもも良好な関係を築けていると思う。」ということが話題になった。
 このことは僕自身も昔から『違和感』があった部分だ。

 教師になったばかりの頃、最初の1年はかなり研修がたくさんあった。そのなかで「子どもたちは愛すべき存在です。褒めて褒めて褒めまくってくださいね。」と言われたことがあった。何だか神仏に繋がる話の類のような気がしていた。学校に帰れば、言わなければならないことが山のようにある。子どもが素直なことは百も承知だ。ただ、それでもルール違反や他者への嫌がらせを繰り返せば注意しなくてはいけないのは当然だろ?と最初の3年くらいは普通に思っていた。

 ただ、教師4年目の年に『子どもの発達科学研究所』の研修を受けるようになってからは捉え方が変わっていった。僕が頭の中に抱いていた『褒める』が単に間違っていただけなのだと気が付いてからは自分もしっかりと『褒める』を意識した『教育』や『子育て』の実践者の一歩を踏めるようになってきた。
 今日は『褒める』とは何かについて書こうと思う。

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褒めるの正体

 「頑張った!」「偉いね!」「よくできたね!」「すごいね!」などなど褒め言葉は世の中に溢れている。僕は子どもを褒めなさい!というフレーズを聞いてこういう言葉を多様に使いこなす人間になれと言われているようだった。ただ、僕自身がこの『褒め言葉』というのを多様する人があまり得意では無かった。
 もちろん、誰かから評価されたいと思っていなかったわけでは無い。僕だって自分を肯定的に評価してもらうことには少なからず喜びは感じたし、悪い気がしていたワケではない。
 でも、僕が褒めてもらえたことは僕にとってどうでも良いことばかりであまり心に刺さることは無かったというだけだ。

 きっと僕がそれまで経験した『褒める言葉』というのは点数や結果などその一瞬、たまたま起こったことをターゲットにされているものが多く、そこに行き着くまでの僕自身の本当の『頑張り』は評価されていないことが多く、別にそこまで強い関係性で無い人に『褒め言葉』を並べられても気持ち良くも何ともないと思っていたのだと思う。

 ただ、これは僕の大きな勘違いであり、僕らが『教育』や『子育て』で大切にしないといけない『褒める』の正体はこういった『甘めの言葉』ではなかったのだ。

 『褒める』の正体は、『行動』を『強化する』ことだったのだ。

行動を強化するとは? 

 『教育』や『子育て』に大切な『褒める』とは無闇に肯定的な言葉を伝えることではなく、あくまでも望ましい『行動』が増えていくように『行動』のあとに良いことが起こる仕組みを作ること、もしくは『行動』のあとに悪いことが起こらない仕組みを作ることなのであった。

 つまりどういうことか?
 勉強する時間を増やしたかったら「勉強するといつも良いことが起こる仕組みを作る」か「勉強したことで悪いことが起きない仕組みを作る」ことを意識することが大切なのである。
 これが本当に必要な『褒める』=『行動』を強化するということなのだ。
 これには別に薄っぺらい『見てくれの良い言葉掛け』にこだわる必要なんて全くない。
 子どもが頑張ったあとに『チラッと見る』『親指を立てる』『ハイタッチをする』『飴玉を渡す』『ノートに少しコメントを書く』『横で話を聞く』『自由な時間を与える』などなどそれぞれの子に合った形で『良いこと』を作り出せばそれで良いのだ。

 時々、やっぱり子どもには『厳しく教えてやるべきだ!』という人も実際には居る。子どもの望ましくない『行動』には付いて回って一生懸命『叱る』タイプの大人だ。ただ、実はこういった場面では逆にこれが『強化』になっていないかを気にする必要がある。嘘を付いたり、喧嘩をしたり、ゲームばっかりしていたり、宿題をやらずに遊び続けていたりする子に『厳しい言葉で罵倒し、その後一緒にやってあげる』ような飴と鞭戦法では、結果的に良くない『行動』を取っていれば結果的に『大人に助けてもらえる=良いこと』が得られてしまうわけだ。

 『褒める』は決して悪いことではないし、作り物のコミュニケーションではない。もちろんこの関係は子どもとの関係だけではない。大人同士も一緒だ。相手とのコミュニケーションにおいてお互いが持続可能な形で『良いこと』を送り合える人間関係作りを目指していきたい。

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