僕は、時々自分のアンテナで拾い上げた本をMy Placeに通う子どもたちやお家の方々に紹介している。もともと本を読まない子だった僕だが、大人になって本を読むことが少しずつ増えた。僕はアンテナを立てていなかったのだ。どんなに親に読み聞かせをしてもらっても、どんなに家に驚くほどの本があっても、さらりとかわして過ごしていた。
でも、今思うと僕は恵まれた環境に居た。と言うのも僕の親は自分たちはすごく好きなものがあったとしてもそれを押し付けて来ようとはしなかった。どれだけ自分の紹介した本が僕の世界の『背景』に変わろうとも本を手に取れる環境だけを揃え、ただ僕が進み出すのを待っていてくれたのだ。
人にはそれぞれ『刺さる言葉』が違うはずだ。なぜならみんな違った人生を送っているからだと僕は思う。そんな僕が今この瞬間読み終えて『刺さった本』を今日は紹介しようと思う。
この本の著者は、『吉藤オリィ』さんというロボット開発者だ。株式会社オリィ研究所という会社のCEOを務め、ロボットを使った福祉の分野で活躍をされている人だ。
吉藤さんは、小学5年生から中学2年生までの間に『不登校』を経験されている。折り紙が大好きでそのことから『オリィ』という名を名乗るようになったそうだ。
僕がこの本の中で特に印象的だった場面は、彼の生きて行くミッションが書かれてあるページだ。彼は様々な経験から自分の生きるミッションを『孤独の解消』と綴っている。周りと自分の違いに苦しんだり、自分が本気で楽しもうとする時に感じる『違和感』など彼の人生にしか見えなかった言葉が書かれている。だが、これを読んでいる僕も『共感』の嵐だった。
教師の仕事を辞めてからというもの僕の毎日は『思考し続ける日々』ばかりである。授業はしない。学校行事だってない。決められた宿題を提供するわけではない。そして何より今目の前にいる子どもたちが僕の目の前に居ることが『当たり前』で無くなった。僕が口だけで終われば目の前から人は居なくなるだろうし、きちんと必要なところに『価値を届け続けなければ』僕の目の前には『子ども』たちは居なくなるだろう。
では僕のミッションは何だ?この仕事に変わって1年と少しが経った。
間違いなく『教育と子育てを明るく、前向きに、楽しくすること』だ。それに関わる僕に出来ることはとにかくチャレンジする。そして失敗したなと感じたらすぐに軌道修正をすることが大切だと日々感じている。僕の仕事のターゲットはいつでも『僕を頼りにしてくれる、子どもとその家族、そして先生』だ。自分自身と僕の家族がズタズタになりながら勝ち取る僕の『評価』に目の前がぼんやりとしていた時期は実際にあった。日が変わるギリギリまで続けた体育の授業研究も、自分の子育てには何の役に立てることも出来ずにとことん学んだ特別支援教育の知識や経験も今は僕にしか作れない最強の『武器』になっている気がしている。
この本の中で書かれていた『夢中になること』『失敗を受け入れること』はこれからの時代に本当に全ての子どもが獲得しなくてはいけない大事な『経験』だと思っている。
あと数年すれば必ず『教科のお勉強だけが評価される時代』ははっきりと終わる。だからこそ、それだけに追われてアンバランスになり『好き』を追い求める『意欲』をへし折られる人生を送ることは危険だと思う。いつどこで起こるかわからない時代の転換点が来てから変えれば良いだろうといやいや何となくを続ける代償よりもこの日本という恵まれた環境の中で「もっと!もっと!」と湧き上がるエネルギーに引っ張られながら成長する人生は決して悪くはないだろう。僕は心から応援するし、これからもそういう『選択肢』を僕は応援し続けていきたい。
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