待ち合わせは喫茶店
待ち合わせの場所は、所謂昔ながらの喫茶店だ。
最近は、分煙ブームで喫茶店やファミレスでも喫煙者には冷たい。
ただ、そこの喫茶店は、まだお好きにどうぞの雰囲気だ。
そこで待っていたのは、僕とほとんど同じ位の年齢の二人の男性だった。
寸前まで連絡を取り合っていたこともあり、お互いすぐに気が付いた。しかし、会った瞬間の言葉は今でも忘れられない。
「うわっ!全然先生っぽくないですね…良かった。」
聞けば、向こうもかなり今回の連絡には迷いがあったようであった。
そもそも、この連絡が本物なのかどうか。突然、小学校がまして公立の小学校が大阪のまだそこまで有名になる前のReggae Singerに声を掛けてくるだろうか?騙されているんじゃないか。色々と思いを巡らせたようだった。
実際に会うことが出来たところで、再び今回の経緯や趣旨を説明した。話せば話すほどお互い打ち解けていった。
ただ、話せば話すほどに『学校』というものがいかに不自由な場所であると映っていることがよくわかった。
本来、公立小学校という場所は、その地域に住む小学1年生から6年生の年齢になる子どもたちがどんな子であっても『楽しく通える場所』で無くてはならない。どんな子の良さも苦手さも認め、伸ばし、時には立ち止まらせ、一緒に進む力を差し伸べるそんな大人が『先生』なはずなのに、『学校』が『管理する檻』で、『先生』は、『自由を奪う調教師』であるかのような関係を結んでしまっていると一部の(もしかしたら、大部分の)人に思われているのではと気が付いた。自分の振るまいや投げかけにもそういう部分が大いにあったのではと反省もした。
Singer RAY登場
しばらく話をして、概ね今回のプランがイメージ出来てきた辺りでマネージャーをしている方が「もうすぐRAYも来ますので。」と言った。
急に僕は緊張した。
これから学校に呼び込もうとするゲストであるにも関わらず、僕はこの時長年Reggaeとい音楽に惚れ込んだ、ただのファンだ。そんな自分の目の前に大きな舞台に上がるプロのアーティストが現れるのだ。
そして、ついに僕たちは出会った。
例のごとく、さっきのような『先生っぽくないエピソード』のやり取りを経て、着々と話が進んでいった。お互い緊張しながらも、今回の経緯や子どもたちに『どんなことを伝えたい授業』なのかを話した。別にReggae好きを増やしたい訳ではない。ただ、本物に出会い、本物の想いを知り、得るものは、ただ『教科書』を眺めて行う授業の何十倍もの価値があるだろうし、その価値は未来を生きる子どもたちの使い道は無限に生きると話をした覚えがある。
そして、僕たちは固い握手を交わした。
そして、約束の日が決まった。
2014年1月16日。
もしかすると、教師として色いろ真剣に頑張る意味が見えだしたのは、ここからかもしれない。
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