ある学校に行けなくなった子を眺めて

不登校

 My Placeには色々な子が利用している。学校に行っている子、行っていない子。学校が大好きな子、大嫌いな子。自分で常に学習を進めている子、とにかく何としてもお勉強から逃げようと必死な子。どの子も僕にとっては大切な教え子だ。もっと言えば、ここに来て巣立っていった高校生もアルバイトとして通ってくれている子たちもみんな僕にとっては大切な教え子だ。

 そんなある教え子の一つの成長を今日は紹介したいと思う。

出会い

 その子との出会いは今年の2月の中頃だった。その子はゲームやインターネットが辞められず『不登校』だという話だった。
 全てのきっかけはコロナの休校のようだ。その子は中学校という大切なスタートをオンライン授業でスタートし、なかなかリズムが作れないまま勉強も上手く行かずに、インターネットの世界へとのめり込んでいった。

 利用して間もない頃、お母さんとお父さんともじっくりお話する機会をもらった。

 僕は今でも覚えている。

 「本当に崩れていくように変わった。インターネットがここまで怖いものだとは思っていなかった。

 お父さんから聞いた悲痛な言葉だった。
 僕たちの出会いはこうして始まったのだ。

引き金は『失敗』

 そこからはもちろん色々なことがあった。少しずつ勉強がわかるようになってきたと思ったら、上手く行かないことがありリズムが崩れる。家族で散々悩んで数日したらまた一歩踏み出す。こういうことを繰り返しているうちに家族もどんどんしんどくなってきているのが話をしていてよくわかった。

 「本人のペースで様子を見ましょう。」一見安心感を生むような学校の言葉も繰り返す度に決して安心できる状況では無くなって来ていた。大人にとっては「そんなこと生きてりゃ毎日のようにあるよ。」と言えるようなことでもその子のリズムが崩れる原因になるには十分だった。部屋に閉じこもって一日寝ているような日もあった。学校に行くために整えられていた『生活リズム』は、学校に行けなくなったことでさらに崩れてしまった。

 ただ、出会って半年が経とうとしている今その子は大きな一歩を踏めるようになってきた

その子にとっての『学校』

 その子は今毎朝僕と朝5時からのオンライン自習室で学習をしている。今日で17日目。日曜日以外は毎日90分。合計24時間以上勉強を自分の意志で続けている。
 その子が起きる目的は『学校』に行くからではなくなった。その子は自習が終わったあとも朝からMy Placeに来ては、一生懸命宿題を進めたり、小学生と談笑したりしていつもニコニコしている。たまにぐっすり昼寝をしたりもしているが、また起きてきて勉強をしている。部活に行った日はとその時にあったことをニコニコと話していくれる。

 もともとは受験生が頑張るきっかけになるならと始めた自習室だったが、一番最初の参加者はいつもその子である。
 朝5時というのは確かに眠たい。だけれどその時間に起きるために寝る時間も整って今その子の生活は動いているそうだ。

 9月になり、またどの子も『学校』に通う日々が始まる。気が付けばもう8月も9日だ。9月になりその子たちの生活もどうなっていくかは誰にもわからない。
 でも、やっぱり『学校』に行くにしろ、行かないにしろ、子どもたちの『笑顔』のある場としてのMy Placeであり続けたいなと思う。

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