僕の『教育観』を育てた5つの教科書

雑記

 教育の仕事をしていると「勉強に役立つ本は?」とか「教育者や子育てをする人にオススメの本は?」といった質問を受けることがよくある。
 この質問は正直難しい質問だ。僕に刺さった言葉は、僕の人生や僕の周りの環境や経験から引きずり出されたものだし、オススメして「どこが面白いの?」とか思われてしまうと『信用』を失うような気さえする。
 それでも全く答えないというのも少し寂しい気がするので、ここ数年で読んだ本の中で僕に刺さった本を今日は5冊紹介しようと思う。

子育て、教育に『科学』を!

 小学校の教師になって4年目頃、何だか今までやってきた『教育』に疑問を持つことが増えていった。それまでも結構真剣に働いていたつもりだし、楽しく過ごしていた。先輩方にかわいがってもらったことから、体育授業では、県外の学校にも出張に行かせてもらったし、全国の研究発表会でプレゼンなんかもさせてもらった。でも、まだ『武器』になる考え方が育っていなかった。
 そんな時に僕が出会ったのがこの本の著者である和久田学さんだった。
 特別支援教育というと今まで、『その子のペースで』『怒らない』『丁寧に』といった曖昧な言葉で包まれていたことにより、すごく『モヤっとした感覚』があった。
 ただ、この方の研修会はそうでは無かった。今までと大きく違うのが『科学的なエビデンス』を持って様々な『困り』にアプローチされている点だった。
 『教育』は情熱だ。愛だ。など言う人がいるが、どちらも正解だと思う。
 それを支える1つ柱として多くの子どもに再現性の高い『科学』の視点を用いることを是非多くの人に知ってもらいたい。

うちの子、読解力が無くって…  

 教育の仕事をしていると親から「うちの子文章問題が苦手で…」「計算はできるんだけど…」と言った話はよく聞く。では、『読解力』とは何なのでしょう。そもそも僕ら大人は『読解力』が身に付いて大人になっているのだろうか。
 この本には、『読解力』を様々な切り口で設定し、それらを育てる方法が書かれている。僕自身、「国語ってこんなにいるの?」くらいに教師になりたての頃は思っていた。ただ、これは完全に僕の間違い、いや僕の受けて来た『国語』のエッセンスがそこに切り込まれていなかっただけだったのだ。『読解力』を高めるための授業作りなどの話題も書かれているこの本は、学校の先生にも、子を持つ親にも新たな視点をくれる本だ。

歴史を越える空想思想バトル

 僕は、『哲学』がとても好きだ。専門的には大学などで学んだことは無いけれど、そういった類の本を何冊か読んだことで『考える』ことの楽しさを学んだ。
 この本の著者との出会いは、僕の浪人生時代だった。一応国公立大学に受験をすることも最初は考えていたので『倫理』の授業を取っていた。その担当が著者である畠山創氏であった。
 先生の授業で話される話が直接自分の点数にはならなかったが、ギリシャ哲学の話やカントやマルクスの話など今でも覚えているものが多い。
 この本は、歴史上におけるたくさんの思想家が、時代や国を越えて、それぞれの『思想』をもとに空想の議論が巻き起こす本である。

国語力の根っこをきちんと育てます 

 教師の仕事をしていると、子どもたちが『読めている』かどうかが気になることがある。
 『読む』ということや、『書く』ということは『情報』を受け取ったり、伝えたりする上でとても大切である。これらの力はただ『教科書』やその『指導書』をなぞるだけでは育ちにくいのではないかなと思うことがよくある。
 この本は、段階的に絵を文、文を絵にするアクティビティが用意されていることによってそれらの力を無理なく育てることに役に立つ。
 作文の苦手な子や読書がなかなか楽しめない子と一緒に取り組むことで楽しみながら力を付けるきっかけにすることができる本である。

 単なる性格診断ではありません

 『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の作者、坪田信貴さんの本である。
 この本は、心理学の視点もしっかりと踏まえた上で、人の伸びる『きっかけ』やポイントが書かれた本である。
 子育てや教育の現場でしきりに「褒めましょう。」という言葉が使われるが意外にも僕たち大人が使っている『褒める』マイナス方向へと向かうこともある。これは逆に、「叱る」も減らしたい行動を抑制する『行為』になっていないこともあるということだ。
 もちろん、この本に答えが載っているわけでは無い。やはり『教育』の芯は子どもを知ること、そして子どもに関わることだ。ただ、そのヒントや道しるべを持つということも僕たち大人には必要なのではないだろうか。

 僕は本当に本を読まない子どもでした…

 僕は今、毎日何らかの文章を読んでいる。書籍の時もあれば誰かのブログ、論文、SNSの記事などなど。
 ただ、子ども時代は本当に本を読まなかった。自分の人生の中でも子ども時代に読んだことのある本の数は本当に少ないと思う。ただ、ある程度大人になった僕が読みたい時にすぐに『読む文化』に自然に入り込めた理由は大きく2つである。
①漫画を読む習慣があった②読みたくなるような本を読むことができる環境があったという2つだ。
 My Placeは『読書』を無理に押し付ける気はない。ただ、新しい『情報』に出会うことは人の可能性を広げることに繋がる。もし、興味のある本があればMy Placeに読みに来てもらいたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました