親の怒りは時間と心の浪費に…

子育て

 小学校高学年や中学生の子を持つお家の方で、『勉強』から離れていく子どもの姿に何とかせねばと投げ掛けているうちに積もり積もった『怒り』を爆発させたことのある方は少なくないのではないだろうか。
 後々困っている姿を見るのも嫌だし、何とかして『勉強』をさせたいが、家族の『厳しさ』という半ば強制的な方法では、ある程度の年齢を越えた子どもには何も怖くない
 それもそのはず、思春期に入れば、外側から、しかも慣れ切った『家族』という関係性の中で言葉掛けだけで『気持ち』を変えてやることなんて至難の業なのだ。
 『気持ち』でどうこうなるのは子どもの『興味』がかなり強く向いている時であって、もともと苦手なことに取り組ませようという場面ではオススメはできない。
 ただ、何も出来ないで子ども自身が勝手に動くのを待っていても仕方が無い。世の中は、所謂学校教育で求められる『勉強』よりも面白いコンテンツ、ここで言う『誘惑』に満ちているので、放っておいて時期が来れば自分から動き出すなんてことはほとんど無いはずだ。
 いつもでもダラダラとしたいことも作らずに逃げ続ける子どもをただ眺めるのは精神衛生上もよろしくないだろう。
 僕は、親に出来る最大の手助けは、『気持ち』を奮い立たせることでは無くて、『仕組み』のデザイン手伝って、あとはそれが『成功』していけるように応援し続けることだと思っている。それによって学習は『習慣化』し、『子どもの自立』を促すことが親の役目では無いかと思っている。

『仕組み』を生み出す3つのエッセンス

 子どもが大前提『勉強』しない理由を考えると『必要性』を感じない上に『面白くない』からでは無いかと考えている。
 僕ら大人が生活する上で『習慣化』されているものを眺めてみよう。朝食を用意するところに始まり、夕食の片付けに終わる。掃除に洗濯、もっと言えば『仕事』だって『必要性』が感じられるから『習慣化』出来ているのである。ただ、これを毎度毎度考えているかというとそうでも無い。現に僕は今朝歯磨きをする時に歯をキレイにしていないと虫歯になっては困るから何て一瞬たりとも頭に浮かんで来てはいない。
 つまり、一生懸命子どもに『勉強』の必要性を説いたって論理破綻を起こすに決まっているのだから、一旦は置いておいて『習慣化』しやすい『環境』作りのお手伝いをすることが絶対にコスパがいいと思う。そして、その『仕組み』が
  ①時間
  ②場所
  ③方法

 の3つである。少しかみ砕いて説明をしていきたいと思う。

①時間

 3つとは言ったものの時間に関しては2つのことを『仕組み』作りする必要がある。❶分量的な時間と❷時間帯的な時間である。
❶分量的な時間
 分量的な時間は、何時間必要か?という質問をよく聞かれるが、僕は即答出来ない。その子の生活習慣が見えない限り、わからないからである。ただ、1つ言えるのは、初めは少な目から始めることをオススメしたい。一番大切なことは『自立した学び続ける人になること』なので、一時の分量を増やすよりも少なくても『続く仕組み』であることの方が大切であると考えている。だいたい15~25分程度のセットを数回。タイマーなどで時間を計って行うのが良い。また、このセットが途切れた時の『休憩』はあらかじめ例を示しておいた方が良い。体を伸ばす、飲み物を飲む、トイレなど合間『休憩』にタブレットやスマホを挟まないことをオススメしたい。僕は教師時代、品行方正をドレスコードのように働いている人が、ちょいと一杯のつもりで終電を逃す姿を何度も見て来たので間違いないはずだ。
❷時間帯的な時間
 小中学生の場合、だいたいの生活時間帯というのは『規則的』であることが多い。もしも、これが『規則的』で無いのなら、まず『勉強』どうのこうのよりも『生活習慣』を一度きちんと見つめ直す方が良いだろう。
 世の中が便利になったことで、色々なツールが『隙間時間』を奪っていく。生理現象として『勉強がしたくなる』なんていうことを気が付く訳では無いので、一度きちんと自分に残される時間を眺める必要があるのだ。この時間帯に〇分を〇セットそれをまずは『仕組み』作りしてやることがとても大切だ。

②場所

 勉強場所にしてもどんなタイプかによって決めた方が良いと思う。
 ついつい『誘惑』に負けてしまう子なら何も無い部屋が良いだろうし、何も無い部屋だと居眠りしてしまう子なら薄っすら音楽が掛かっているくらいの部屋がいいだろう。くれぐれも親が集中しやすい環境では無く、その子が黙々と取り組んでいることをやる場で考えることをオススメしたい。意外と寂しがりやで生活音がするリビングの方が安心して学習が出来る子も少なくない。
 どこでやるを決めてやることで本人の『切り替えスイッチ』にも利用できる。続けることで『あっ今は勉強してるんだ!』と脳に教えてやるのである。あと、ついでに言うと座ってやるばかりが学習だと思わない方が良い。うちに通っている子の中にはブツブツ呟きながら、歩きながら覚える時間を作っている子もいる。

③方法

 くれぐれもこれは親の決めた方法でレールを敷いてしまうのでは無いことだけは伝えた上での『方法』だ。
 『勉強』が苦手な子のほとんどが「どうやってやればいいのかわからない。」から「やらない。」に変わっている子である。
 つまり、言われた『宿題』をこなすことは出来ても、自分なりの勉強法なんて考えたことも無いので、一度に大量の範囲を伝えられる『定期テスト』なんてものには対応しきれないことがほとんどである。
 〇〇の学習はこれを使ってこんな方法で、という『勉強』の仕方をきちんと決めることをお手伝いしてやるとスムーズに始められると感じる。
 また、『方法』についてはいかに『作業的な学習』に時間を使わない方が良いのかということを伝え、①学習する教材や分量を決める②時間を計る③答え合わせをする④間違えた『理由』を考えるを1つのパッケージとしてセットしていけるかが大切になる。
 日頃の学習にこそ、『点数』にこだわったり、『自己分析』にこだわったりするような学び方をした方が良いのである。

最後に…

 色々書いたが、すでにこういったやり取りが不可能なほどに親子関係が難しくなっていることも多いかもしれない。だからほったらかしで気が向いた時や我慢出来ない時にだけ『カミナリ』を。何て古臭い方法では、子どもの『成長』は愚か、精神的に追い詰められたり、あとあとにまで続く『傷跡』に繋がる可能性さえある。
 現代社会は正直今までのように『大人』がどうこうマウントを取っていけるような社会では無い。親の『経験則』が全てになってしまうことでこれからの日本を盛り上げる大切な財産を失うことになるかもしれない。もし、これを読んだお困りの方の声は全力でお助けしたいと思っています。僕の考える『教育』はいつもそこからスタートしています。大人も一緒にやっていける教育のカタチを作りたいものだ。

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