子育てに失敗は無い

子育て

 最近、何人かのお家の人から「最近、子育てを失敗したのかと思うことがある…」という話を耳にした。

 これについての僕の答えは「いやいや、失敗は無いから。一緒に頑張りましょう!」の一択だ。今日の記事は「子育てを失敗したかもなぁ…」と悩むお家の人にまた気持ちを仕切り直して前に進めていくエネルギーを溜めて欲しいという願いで書こうと思う。

そもそも何で『失敗』だと思うのだろう?

 きっと『失敗』だなと感じる背景には色々な要素があるのだと思う。
 思うように親の想いを汲み取ってくれない?期待した行動が返って来ない?色々あるだろうが、きっと親が『望ましいと思う姿』に子どもがなっていないということなのだろうと思う。
 ただこれは学習でも生活でも全てのことに共通して言えることではあるのだが、『想い』では人は動かない。というより『動けない』のである。
 つまり、『失敗』したな。では無く、単に今までの『方法』では『伝わらなかった』だけの話なのである。
 では、今までしてきた関わりは無駄だったのか?というとそんなことは絶対に無い。子どもたちの中には『経験』がインプットされているわけで、これからのインプットの『種』が変われば少しずつ変化が見られるに違いない。

人間はゴールを作りたがる

 少し『教師』の頃の思い出を重ねたい。学校で働いていると年間30人以上の子どもたちを担任し、学年には120人を超える子どもと関わることが常だった。また、特別支援教育コーディネーターという役割を担っている時には学校全体の特にサポートが必要な子に関する『情報』が僕の耳に届いてくる。
 たまに先生方の中に「この子ってADHDですか?」「この子はASDですよね?」と言い、たいていはそこからはなぜ親が診断に連れて行かないのかだとか、自分自身はやれることは無いという話になっていった。だが、その都度診断でわかることとわからないこと、『教師』に出来る仕事とやるべき仕事、そもそも診断が付いたところで何も解決するわけではないのだということを話すようにしていた。
 大人はついつい自分が努力しているのに上手く行かないと『ゴール』を作って自分の今出来ることは『もう無い』としたがる傾向があることを僕は知った。

子育てに『ゴール』は無い

 子育てに『失敗』を作ってしまうと責める相手が『過去の自分』『取り返すことの出来ない相手』となってしまい、子どもに『上手く伝えることが出来ていないまま』終わりになってしまう可能性がある。だけれど、今『失敗だ』と嘆くほど伝えたいメッセージならば是非とも大人になるまでに伝えてあげて、きちんと教えてあげて欲しいと思う。
 時々、「義務教育の間は色々口出しするけれど、それ以降は自分で決めていって欲しい。」というお家の方の話を耳にするが、これを突然やると義務教育の間に色々口出ししなくてはならないレベルの子はかなりしんどいと思う。逆に言えば、中学卒業後に口出しせずに進んでくれるような子には中学生の間もほとんど口を出さないで自分でガンガン成長していくと思う。エネルギーに満ちた子であれば『インターネット』が便利に使えるこの社会では前向きに作用する可能性の方が高い。
 僕は今35歳だ。親ももうそれなりに歳を取ってきた。そんな中やはりまだまだ親は僕のことを『気にかけてくれている』奥さんを見ていてもそう思う。手紙をもらったり、お土産をもらったり何かと『気にかけてもらっている』親というのはいつまでも何かと子どものことが気になるもんなんだなと日々感じている。

子育てに失敗だなと思った時にして欲しいこと

 学ぶタイミングや出来るようになるタイミングは人間それぞれ違う。さらにどんな方法で学びやすいかは人によって違う。時々「うちの子は全員同じ方法で育てたのに、なんでこの子だけ…」という声が聞こえてくるが、もうそれ自体が答えでしかない。学ぶ方法に唯一の『正解』は無いのだ。理由は簡単だ。人間はどんなことからも『学ぶ』可能性があるからだ。別にドリルや授業、説教などからしか人は学ばないわけではない。周りの友だち、所属する集団の雰囲気、その集団の中での立場、立ち位置、いつどこでどんな状況で『学ぶか』によって反応は様々であるものである。
 だからこそ、子育てに『失敗』したなと感じた時には次のことをチェックして欲しい。

  • 絶対に学んでおかなければいけないことか?
  • 本人の生活に真逆のことをして良い思いをしていることはないか?
  • 本人の今ある力で本当に出来そうなことか?
  • それを学ぶ方法が明確にあるかどうか?

 子どもも大人も一緒だが、見通しの持てないことにはなかなかじっくり取り組むことが出来ないものだ。だからこそ、自分にご褒美をあげたり、リフレッシュしたりしながら毎日なんとかやっているのだ。こけたら立てば良いわけだ。何度かこけているうちに勝手にスピードを調整出来る時もあれば、またこけることもある。大切なのは『こけた時にこけたという事実』にきちんと向き合うということだと思う。現代社会は本当に忙しい。自分の今を振り返ることが出来る時間は大人にも子どもにもなかなか取ることが出来ないのも現実だろう。
 でも、『失敗』で終わらせるよりも少し立ち止まって現状を整理することで大人も子どもも明るく進んでいくことが僕は大切なのではないかと感じている。

 

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