未来志向型の支援「保育所等訪問支援」

学校

 皆さん、「保育所等訪問支援」という福祉サービスはご存じでしょうか?
 児童福祉法に基づく福祉サービスで、平成24年から行われている支援の形なのですがまだまだ認知度の低いサービスです。正直、僕が教員時代からあったサービスではあるもののそこまで頻繁にお世話になることも無く、特別支援学級の担任の時代ですら十分に制度の理解が出来ていませんでした。(教員時代の不勉強をさらすような記事ですが、恥を忍んで書きます!!)

 ただ、このサービスは、もしかすると僕が教員時代にずっと苦しんでいた問題を解決に導くためのきっかけになりうる素晴らしいサービスになりうると考え、令和5年の3月より僕たち家庭学習応援施設My Placeでの西宮市から指定をしていただきサービスを開始しました。

 これが本当に良いサービスなのです。このサービスは障害児通所支援事業の1つの形態で放課後等デイサービスや児童発達支援などと同じような位置づけのサービスの1つです。放課後等デイサービスや児童発達支援は結構もう有名な支援の形態の1つになってきていますが、まだまだ「保育所等訪問支援」は知っている人は知っているよねくらいのサービスなのでは無いでしょうか?

 今日は皆さんにこのサービスの良さを知ってもらいたく記事を書きたいと思います。

①どんなお子さんのためのサービスなの?

 そもそも今回の記事は僕の反省を活かした記事です。なので『まぁまぁ本気で子どもの支援についても考えていたつもりだった教師でも知らなかったこと』という視点で伝えていこうと思います。

 保育所等訪問支援は、『各自治体が発行する通所受給者証』というものが発行された18歳までのお子さんが対象です。『保育所等』の等の中には実は小学校や中学校、高校など様々な集団が予定されているのです。僕はこの名前に随分長いこと勘違いをしていました。ですが、実は年齢の幅が大きいサービスだったのです!!

②なぜ今未来志向型の支援と言えるの?

 これまで障害のある子どもの発達支援は施設や事業所など特別な場所に通所又は入所する形で行われることが一般的でした。しかし、厚生労働省の発信している『保育所等訪問支援の効果的な実施を図るための手引書』には以下のような課題があると書かれています。

①発達上の課題が保育所等の集団場面で気づかれることが多いこと(家庭や個別対応では問題が見えにくく、通所支援に至らないことも多いこと)
②通所支援で身につけたことが保育所等の集団場面に般化しにくく、不適応を起こすことも少なくないこと(保育所等での集団適応のための別の支援が必要であること)
③通所支援を終え保育所等へ移行した後のフォローアップが不十分であること(フォローアップが制度上確保されて
いないこと)
④障害特性の個別性からくる支援の困難さが保育所等の職員を疲弊させる一方で、保護者が保育所等に対してもどかしさを感じ、結果として保育所等と保護者の間にあつれきが生じてしまうことも少なくないこと(立場の違いによるニーズの違いがあること)

保育所等訪問支援の効果的な実施を図るための手引書/厚生労働省

 こうした課題を解決するために設定されたのが『保育所等訪問支援』なのです。保育所等訪問支援は、特別な場所で行うのではなく、それぞれの子どもたちの普段通所している場所での集団適応を支援するサービスで、家庭学習応援施設My Placeからスタッフを派遣する形でのサービスなのです。

③どんなことが出来るの?

 保育所等訪問支援は、主に2つの支援を予定しています。1つは何と言っても利用する子どもに対する直接の支援です。コミュニケーション面や学習面、生活面など様々な支援を専門的な資格を有するスタッフが提供します。その子の実態に応じてサービスを提供するのでそのための丁寧な個別支援計画を作成して支援を提供します。

 また、保育所等訪問支援では環境整備を行ったり、集団のスタッフにお子さんの特性理解した上での関わり方や活動の組み立て方についての助言を行うような間接支援を行うことが可能です。

 僕は教員を7年経験し、特別支援学級の担任も学校全体の窓口である特別支援教育コーディネーターの経験もあります。学校の困り事は手に取るようにわかります。学校の先生たちの気持ちや忙しさ、願いもかなり想像が付きます。特に僕が働いてきた西宮市のことならよくよくわかります。だからこそ、先生方の想いも加味した支援の提供ができるのではないかと思っています。

 僕は何度もこのブログに書いていますが、学校という場所に対して心底リスペクトを持っています。教員の仕事だって大好きでした。色々な事情が掛け算されて『機能不全』を起こしてしまっている場面があるなと思っていたことは事実です。

 『教師の多忙化』と『学校内の人手不足』は僕が教員時代に何度も奥歯を噛みしめたテーマでした。文部科学省の打ち出す絵は、決して悪い物だとは思いませんでした。ただ、それを真剣に実現させようとそれぞれの分野が主張するといつも学校内が回らなくなるほど忙しくなっていました。特別支援教育を本気で取り組まないと!と思い、学校の中で声をあげたとて全職員一丸となって取り組む余裕なんて僕がいた現場にはありませんでした。たまにヘトヘトになって夜も近い夕方ベテランの先生が「先生、発達障害って結局何なの?」と聞いてくれた時、「あぁこういう先生を助ける役割を果たしたいな。」と強く思いました。もしかすると「現代の教育現場に立っておきながら最低限の知識くらい学んでいて当然でしょ!」というご意見もあるかもしれません。でも僕はそっち側の意見の肩を持てなかったんです。子育ても家のこともほぼ全て任せて、夜中も2時や3時まで起きてとにかく働くような生き方をしていた僕が出来ることを、育児や家事、家族の介護をする先生が出来るワケが無いということに気が付いた時には僕が教員として働く未来は消えていました。

 「先生が忙しいなら先生の代わりになる仕事を作ろう!」「学校に人手が足りないのなら学校の仕事を引き取れるような仕組みを作ろう!」僕たちがフリースクールで不登校の子どもたちに教育の場を提供していることも、以前小学校の授業作りのお手伝いをしたことも、そして今回保育所等訪問支援を始めたことも全てはここに繋がっているのです。

 家庭学習応援施設My Placeは特定非営利活動法人ONE LOVEの運営する施設です。この法人は『子どもとその家族、そして学校の先生が明るく楽しく教育や子育てに参加できる社会の実現』というめちゃくちゃ大きなテーマを掲げて活動しています。僕らみたいなお仕事が各校区に1つくらい出来たとすればかなり面白い社会が出来るのでは無いかな?とワクワクした気持ちで日々活動しています。もしこの記事を読んで、保育所等訪問支援や法人の活動に興味を持ってくださった方がいらっしゃればお気軽にお問い合わせください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました