フォークに何かされたんか!?

子ども

 「フォークは使われへんから。」

 ある日、子どもが言い出した。「あぁ、またこういう話ね…」とふと思った。

 実を言うと僕はこのルールがすごく苦手だ。

 さかのぼること教師時代。フォークは使ってはならないという『指導を耳にした。』聞くと小学生は箸の使い方を学ばせる必要があるという。別に異論は無いし、良い持ち方や使いやすい持ち方を教えることを否定はしないし、教える人が居ても問題ないと思う。食事のマナーや教養を大人が教えることには全く批判するつもりはない。

 だけどそれを『ルール』にすることは僕は気になってしまう。食べやすい道具や方法をそれぞれが考えることこそ、より良い社会生活を送る上での大切なスキルであるということと、食文化という非常にデリケートなことを『学校』という一公共施設が取り締まることは良くないことだと思っているからだ。
 教育におけるルール設定者には、これくらい慎重な判断が必要なのではないかという気持ちが強くある。

 ここからは完全に笑い話なのだが、僕はこのフォークを持ってくるかどうか問題で教師時代口論になったことがあった。

僕「あのぉ、そのフォーク持ってきちゃいけないってルールいります?」
先生「給食指導には、お箸の使い方を教える意味合いもあるからね。」
僕「いや、箸を教えることとフォークを禁止することは別問題でしょ。」
先生「フォークがあったら苦手な子はすぐにフォークを使うから。」
僕「じゃあその子はきっと家でもフォークですよね?その家庭の食文化に割り込んで学校が矯正する場所であっていいんですか?」
先生「いやぁ、そこまで考えている子はいないでしょ。」
僕「だって、現実に小学生になるまで箸が苦手って子は苦手になるべくしてそうなった訳だから、ゆっくり個別に丁寧に教えないとフォークを奪ったって使えるようにはならないですよ。」

 僕は別に箸の文化を否定していない。何なら僕はカレーだろうと何だろうと箸で食べていた。なぜなら箸しか持っていないからだ。
 でも、『学校』が文化を否定する場所であってはならないという一心でこだわって何とか『ルール』の見直しに掛け合った。だんだんとこの議論を相手が終わらせようとしているのを感じていると…

先生「そもそもフォークって尖っててあぶないでしょ。」

僕「絶対箸の方が尖ってますから!!!!」

 僕はこういう学校文化が不思議でたまらなかった。心の中で「お前、フォークに何かされたんか!?」

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