意識しないと奪われる『考える時間』

子ども

 僕は最近毎朝子どもたちとオンライン自習室をやっている。朝5時の自宅はとっても静かだ。僕は休みの日は必ず何かするし、じっとしているのは嫌いなタイプだ。今日は1日お家でゴロゴロしたい!と思うことはほぼ無い。風邪を引いたり、外が大雨でも降っていない限りは常にどこかに行きたくなる。もちろん、家が嫌いなワケでも無いし、YouTubeを見たり、子どもとゲームをしたり、読書をしたり、家でもしたいことは山のようにあるけれど、それでもすぐ外に出たくなる。

 こんな僕にとってやはり『コロナ禍』はすごく負担は大きい。感染対策には賛成だし、人混みにわざわざ飛び込むようなことはしない。でも僕にとっては『家の外の刺激』が無ければ生活のバランスを崩してしまうような気持ちにさえなるのだ。ただ、あえて僕はこういう自分にしておこうと意識する部分もある。

 さて今日は、そんな僕たちの生きる現代社会を眺めてみたいと思う。

暇な時間って何してる?

 僕は今の仕事をするようになって子どもたちに「暇な時間って何してる?」と聞くことが多くなった。

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子どもと家族と先生のための、あなたの『学校』

 するとたいていの場合は、「スマホゲームか動画視聴かSNS」との返答がある。子によっては一度に何時間も時間を費やしている子がいるくらい沼のような構造がここにはある。ただ少し気になることもある。こうした答えを返す子の中には一部「どう過ごしているのかあまり意識が無い子」というのがいるのである。YouTubeを見るには見るがとにかくザッピングするように関連動画を見まくる。だが、今日は何を見たかあまり覚えていないというのだ。

情報の力を舐めてはいけない

 僕らの生きる現代社会は『情報』に溢れている。少しスマホを開けばネットニュースが流れてくるし、スマホにアプリをインストールすれば基本は自分が求めていない情報までポンポン通知してくるのだ。つまり、僕らは生活すればするほど『スルーするスキル』に長けてくるのだ。

 下手をすると僕らと同世代以上の人たちは電話やメールが来るのを今か今かと待ち望んだ生活を送っていたかもしれないが、現代の生活に慣れた子どもたちは今「いかに自分に必要の無いものを削ぎ落すか」というテーマに基づいて無意識のうちに生活しているのかもしれない。どれだけ時間を使おうが、高得点をとった1回のゲームやとんでもなく自分の心に突き刺さる内容の動画に出会えない時間は子どもたちの中で自動消去されていくのかもしれない。

 僕たちはそれほど膨大な『量』しかもたいていは無料でも『質』の高い情報やエンターテイメントに囲まれて生活しているワケで、これを一度覚えてしまうと「もっともっと」と欲が出てしまうのである。

時間を守り抜く『意識』

 別にスマホゲームや動画が悪いと言いたいワケでは無い。だけれど意識しておかないと何も残らない時間ばかりを過ごしてしまうようになるよ。という話がしたいのだ。
 僕たちは日頃から無意識に『情報』に生活を乗っ取られて生きている。言い換えると様々な『情報』が無いと不安になるような『情報依存症』を引き起こされているのかもしれない。一番のダメージは情報に溶け込んでいる時間は『何も考えないで済む』ことで、自分で『考える時間』を持たずに一日を終える子ども(下手すると大人も…)が増えている印象がある。

 『情報』がいらないというワケでは無い。子どもたちの中には『情報』を上手く使い、僕らより遥かに有能なビジネスパーソンとなっている子どももたくさん居るのは僕もよく知っている。だからこそ、僕たちは『情報』を使う側の人間になるために意識して『考える時間』を取らなきゃいけないのだ。

 僕は日頃から『自分以外の物の働きかけで自分を楽しませてくれる物』をインプット系エンタメ、『自分から働きかけで自分を楽しませてくれる物』をアウトプット系エンタメという定義を作って生活を眺めることにしている。どちらもすごく大切なのだが、放っておくと現代社会は便利になり過ぎて『インプット過多』になりがちだ。

 家が快適だとついつい家に留まることも増えるだろう。そしてコロナ禍の今、家を出たくない派の子どもたちにとってはめちゃくちゃ都合が良いのかもしれない。だけれど、インプットとアウトプットのバランスは意識して整えにいかないと『考える時間』が生み出せない。人は『考える』からこそ成長する。何に邪魔をされるワケでも無くフラッと散歩に出かけると季節の変化や自分の体力に意識が行くだろうし、街を眺めていると最近の世の中の様子も変わっていくことに気が付くかもしれない。この習慣が身に付いていけば逆にインターネットはかなり優秀な『道具』に変わってくるのではないだろうか。ゲームやSNS、動画でしか自分の生活を満たせない子にはまず『スマホ』を捨て『何でもない時間』を楽しめる力を付ける機会を作ってみてはどうだろうか。

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